今から皆さんには、人質になってもらいます…。
はい、どーん!(爆発)
という、1話からクライマックスな展開を見せるドラマ『3年A組』。
放送当時は社会現象とまでなったドラマ、気になってたので観てみました!
このドラマは社会に対する強いメッセージが含まれており名言が多く、「言葉は刃物」というコナン君の名言を思い出させるような展開にぐっとくるものがありました。
現代社会に生きる皆さんに観てもらい作品です!
あらすじ
卒業まであと10日となった魁皇高校で先生が突然、生徒を全員集め、「今から皆さんには、人質になってもらいます」とバトロワの名言っぽいことを言い、校舎を爆発し生徒達を学校へ閉じ込める。
そして生徒達へ課題に取り組むことを強制するが達成できなければ誰かを殺すと脅迫される…。
その課題は、かつてそのクラスでドーピング疑惑からクラスで浮いた存在になり自殺した影山という一人の少女がおり、先生は彼女がなぜ自殺したのかという真相を明らかにする為だった。
徐々にクラスメイト達の本音が出てきて、自分の過ちと向き合い事件の真相へと迫る…。
感想
まず菅田将暉の演技はすごかった…
冒頭の暴力的な行動だけどすごく冷静なセリフで逆に怖い感じの極悪人、
感情の読めないサイコ野郎、余命わずかな死にかけの病人、
そして生徒達と全力でぶつかる熱血先生という一つのドラマの中でも様々な演技をされていて、なんでも演技できそうだな~と思いました。良い演技は見る人の心を揺さぶりますね。
菅田将暉だけでなく、生徒達も一人一人の熱量が大きく、常に全力でぶつかり合っていて話し合います。…というより怒鳴り合いのような感じでドラマが進んでいきます(笑)
でもそうやって全力で向き合ったからこそ生徒達が先生に心を開いていき問題の本質を見つけて行けたのかなと思います。生徒の問題に全力で向き合って徐々に生徒から本音を聞き出していき成長していく姿には感動するものがありました。
あえて分析させてもらうと犯罪者(先生) 対 人質(生徒)という関係性から、極度の緊張状態を作り出したことで本音を聞き出せたのかなとも思います。
この状況下でほのぼのとした会話は無理ですよね。だから感情的にぶつかってそれに反応した生徒の感情が高まって本音が出たんじゃないんでしょうか。
このドラマに感動し「よし俺も全力でぶつかってやる!」と張り切っているそこのあなた!
生徒に対しこのドラマのような接し方をしようものなら、今の時代では即刻パワハラになるのでご注意下さい。
やるならこのドラマのような状況を作りましょう(無理)
それか真面目な話をすると生徒との信頼関係を築いた上で愛を持って叱ることでしょうか。
パワハラを気にして生徒と上辺だけの関係を続けていくのも寂しいですよね。
生徒との信頼関係、その生徒の特性に合わせた付き合い方をしてあげることが健全な生徒と先生の在り方なのかなと思います。
↓以下ネタバレ注意
事件の流れとSNSの反応
先生が起こした事件に対してSNS(Mind Voiceという不特定多数のコミュニティツール)が反応していく様が、SNSという特性を見事に捉えており面白いです。
1日目
状況:生徒達を人質に校舎で立てこもり、出した課題をクリア出来なかった為、生徒一人を殺した。
SNS:生徒殺しの殺人犯として叩く(誹謗中傷)
3日目
状況:またも課題をクリアできず5人もの生徒を殺す。
SNS:ネットがさらにヒートアップ。
5日目
状況:SNSに生徒の集合写真をアップロード
SNS:先生が誰も殺していないことを知り、実は真相を暴こうとしているだけのヒーローなのではないかと称えはじめる。
6日目
状況:武智の疑いがある人影が影山を自殺に追い込んだように見せた動画をアップロード。
SNS:疑いの目は一気に武智に向けられる。
7日目
SNS:動画の人物を武智と特定し叩く(誹謗中傷)
8日目
SNS:武智を徹底的に叩く(鬼畜の極み)
9日目
状況:動画の人物が実は先生であることが判明。
SNS:再び先生が犯人だと叩く。
10日目
動画は実は先生の自作自演。全てが噓であること明らかにする・・・。
ネット民「( ゚д゚)ポカーン・・・」
SNSによる暴力
初めは、武智をフェイク動画で陥れて懲らしめるはずが先生の自作自演とバレてしまったのかと思いました。しかし実は自作自演とバレるところまでが計算のうちでした。
目的はSNSの不確かな情報でいかに踊らされているかを世間に自覚させる為であった。
信憑性の薄いネットの情報を鵜吞みにして意見をすぐに二転三転させる経験ありませんか?
自分で考えることなく誹謗中傷をすることが如何に愚かな行為であるかを見事に体現しておりここまで計算して計画を立てた先生は本当にすごいです。メタ的なこと言うと脚本家がすごいです(笑)
誹謗中傷している人にとっては軽い気持ちで言っているだけでも言われた人は傷付きます。なので不特定多数の匿名の場で正義感を過剰に振りかざすのは正義感の使い方を間違えています。はっきり言ってダサいです。
ドラマ『3年A組』では例えとして名言を残しています。
ナイフで刺されたら痛いし血が出るのと言葉は同じだと言います。先生の「変わるんだ! 悪意にまみれたナイフで汚れなき弱者を傷つけないように、変わるんだよ…変わってくれ」という名言はぐっとくるものがありました。
事件の真相と先生が伝えたかったこととは?
影山を自殺に追い込んだ真犯人はドーピング疑惑がバレたからでもなくクラスメイトのイジメでもありませんでした。
真相はSNSによる誹謗中傷が影山の精神を追い詰めて殺した・・・つまり真犯人はSNSでした。
先生がこの事件を起こした理由は影山の自殺の真相を明らかにすることだけではありません。
SNSで世間にさらすことでSNSという言葉の暴力でも殺人となりえることを世間に知らしめることを目的としていました。そして3年A組の生徒達に自分の頭で考えて、他人の気持ちを想像し、自分の行動に責任を持てる大人になって欲しいという想いもありました。先生良い人すぎ…
先生と生徒の熱演が凄まじく、言葉がダイレクトに心に届いてくる気がして思わず泣ける所が多かったです。先生の人を思いやれ、考えろという教えが終盤になってくるにつれ生徒達に届いていると感じるシーンがあるんですが、先生と生徒との絆がいつの間にかできていて感動します。あと森七菜ちゃんが可愛かった!
最後に
SNSでの誹謗中傷に何故、傷付くのでしょうか?
たぶん、普段は気にすることないんだと思います。しかし傷付いて弱った時にふと誹謗中傷を目にすると不特定多数が利用するという特性上、「身近な人が言ってるんじゃないか?」などの悪い想像ばかりを繰り返してしまうんじゃないでしょうか。
その小さな積み重ねが周りにいるほとんどの人が自分の悪口を言っていると妄想してしまい、自殺まで追い込まれてしまうのではないかと思います。
便利なツールかもしれませんが知らぬが仏という言葉もありますし、SNSを思い切って止めるのも一つの手かなと思います。
誹謗中傷だけでなく、SNSのキラキラした日常とかインスタ映えとかで承認欲求を嫌でも刺激されるので、優れた他人ばかり目につくと普通の暮らしをしていれば相対的に不幸になっていくことは明白です。
もちろん、コミュニケーションツールとして非常に優れていて基本的には良いものなので正しく使用すれば問題ありません。ですが使い方を誤ると人を傷つけてしまうし、いつの間にか自分も傷ついてしまうものだということを忘れずに使っていきましょう。
このドラマの面白いポイント ※ネタバレ含む
影山を自殺に追い込んだ糾弾する対象が個人→集団(クラスメイト)→組織(学校の教師や犯罪グループ)→社会(SNS)とだんだんスケールが大きくなってハラハラドキドキの展開が待ち受けてます!
個人的にはこの人間という生き物全体に向けて発信したメッセージだったんだと気付いた時は鳥肌ものでした。
そして余命わずかというなかで生徒と本気で向き合ってできた先生と生徒の信頼関係には感動の極みです。菅田将暉がだんだんと痩せていって役作りはさすがストイックだな~と思います。
この事件後の社会も少し演出あるんですが、しばらくすると何事もなく忙しなく生きていると言います。人という生き物は良くも悪くも忘れる生き物で真理が垣間見えた気がします。
でもこの名言の多いドラマから受け取ったメッセージは忘れることなく過ごしていきたいです!
昨今のSNS自殺にも警鐘を鳴らした名作ドラマでした!